
マイホームを探していると、「えっ!?この家、他よりずっと安い…」と驚くような格安物件を見つけることがあります。予算に余裕がない人にとっては、思わず飛びつきたくなるような価格ですよね。
でも、ちょっと待ってください。
その“安さ”には、何かしらの理由があることがほとんどです。
安く買えたとしても、住み始めてから「こんなはずじゃなかった…」と後悔する人も少なくありません。
この記事では、不動産売買における「格安物件」の裏側や注意しておきたいポイントを初心者の方にもわかりやすく解説します。
■ そもそも「格安物件」ってどういう家?
格安物件とは、エリアや広さ、築年数、駅からの距離などを比較したときに「相場よりも明らかに安い」家のことです。
たとえば、
- 同じエリアの同じ築年数の家が3000万円前後なのに、ある物件だけ1800万円
- 新築と比べて極端に価格が低い中古住宅
こうした「安すぎる」物件には、必ずと言っていいほど“理由”があります。
その理由をきちんと見極めないと、購入後に思わぬ出費がかさんだり、生活に支障が出たりすることがあります。
■ 格安な売買物件にありがちな「安さの理由」
では、なぜこんなに安いの?と気になる方のために、よくある原因を紹介します。
① 築年数が古すぎる
築30年、40年を超える中古住宅は、価格がぐっと下がる傾向にあります。
古い家は以下の点に注意が必要です。
- 建物の老朽化(屋根・外壁・水回りなど)
- 昔の基準で建てられていて耐震性に不安がある
- 現代の生活スタイルに合っていない間取り
「リフォームすれば大丈夫」と思っていても、実際にかかる費用が数百万円になるケースも珍しくありません。
② 土地の条件がよくない
- 敷地が変形していて建て替えが難しい
- 前面道路が狭くて車が入れない
- 接道義務を満たしておらず建て替え不可(再建築不可)
など、土地そのものに制限がある場合も「安く見せるしかない」のが実情です。
※特に「再建築不可」は、後から建て替えることができないため、資産価値が大きく下がります。
必ず確認しましょう。
③ 事件・事故などの“心理的瑕疵物件”
過去に事件や事故(自殺、殺人など)があった物件は、買い手が見つかりにくいため、大幅に値下げされます。
こうした物件は「告知義務」があるため、基本的には説明されるはずですが、時期や内容によっては説明が省略されることもあります。
不安な場合は、不動産会社に確認しましょう。
④ 地盤や周辺環境の問題
- 地盤が弱く、地震時に沈下や液状化のリスクがある
- 過去に浸水や土砂災害が起きている地域
- 工場や幹線道路に近く、騒音やにおいが気になる
- 近隣トラブルや治安の悪さ
これらも、価格が下がる原因になります。
現地を見に行き、周囲の様子をよく観察することが大切です。
■ 実際にあった“格安物件での後悔例”
事例①:築古住宅を安く購入 → リフォーム費用が予想以上に
「1000万円以下で家が買えるなんてラッキー!」と築45年の中古住宅を購入したAさん。
ところが、住む前に配管の老朽化、水回りの交換、耐震補強などが必要になり、リフォーム費用に600万円以上かかってしまいました。
→ 結果、近隣の築浅中古とほぼ同じ費用に。
事例②:土地が再建築不可 → 将来的に売れない
土地付き戸建てが格安だったため即決したBさん。
しかし後になって、建て替えができない「再建築不可物件」だと判明。
子どもが独立した後に売却を考えていたが、買い手がつかず、将来の資産計画が狂ってしまいました。
■ 安い物件でも“買っていいケース”とは?
すべての格安物件が悪いわけではありません。条件や目的によっては、十分に「アリ」な選択もあります。
たとえば、
- 自分でリフォーム・DIYするのが好きな人
- 二世帯住宅で一時的に住む予定
- 収益物件(賃貸用)として割り切って使う
このように「安さの理由を理解し、自分の目的に合っている」と判断できれば、掘り出し物になることもあります。
■ 安心して買うためにやっておきたいチェックリスト
家を買うときは一生に関わる大きな買い物です。後悔しないために、以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。
✅ 周辺相場と比較して「なぜ安いのか」を調べる
✅ 現地見学をして「実際の状態」を目で見る
✅ 土地の条件(接道、再建築可否など)を確認する
✅ ホームインスペクション(住宅診断)を依頼する
✅ 信頼できる不動産会社に相談する
✅ 「将来売れるかどうか」という視点も忘れずに持つ
■ まとめ:安さの裏側に「本当のコスト」があるかも?
「安い=お得」ではありません。表面的な価格だけで判断してしまうと、住み始めてから思わぬ出費が出てきたり、思い描いていた生活ができなかったりします。
不動産は“買って終わり”ではなく、その後の生活や将来の資産価値にも関わってくる大事な選択です。
だからこそ、安いからこそ、ちゃんと調べて、納得してから決めましょう。
賢く、安心して、マイホームを手に入れてくださいね!